収益認識基準 導入の道しるべ 第7回 検討シートと適用ガイド案を作ろう!(返品・保証編)

解説

 公認会計士・税理士 内田 正剛

( 24頁)

第7回も引き続き「検討シート」と「適用ガイド案」の作成の仕方を解説します。今回のトピックは,返品・保証です。なお,各資料の関係については連載第2回 ( No.3407・45頁 【図9】)をぜひご確認ください。また,各章末に前シリーズ「図解と事例で学ぶ!収益認識基準」の参考ページを記載しています。当連載に合わせてご一読頂くと,「なぜその作業が必要か?」を詳しく理解することができます。

1. 返品権と返金負債〈19年9月~12月〉

(1)調査の進め方

①会計基準の考え方のおさらい

例えば10個販売して1個返品が見込まれる場合,これまでの実務では10個について売上を会計帳簿へ記録していましたが,今後は9個について売上を会計帳簿へ記録するという考え方です。一旦,10個分について代金を受け取っているので,1個分の代金については,「返金負債」を会計帳簿へ記録します。そして,1個分については「売っていない」という考え方なので,「返品資産」という資産を会計帳簿へ載せて,返品に必要な見込みコストはマイナスします。

②過去の返品実績の把握

返品が見込まれる個数・金額を見積もる...