IFRSをめぐる動向 第116回 IAS第38号「無形資産」―「サービスとしてのソフトウェア」のクラウド・コンピューティング契約における顧客側の会計処理―
解説
PwCあらた有限責任監査法人 公認会計士 飯沼奈苗
( 18頁)
1.はじめに
本連載は,主に国際会計基準審議会(IASB)及びIFRS解釈指針委員会(IFRS IC)での討議内容に基づき,IFRSをめぐる最新の動向を伝えることを目的としています。今回は,IAS第38号「無形資産」に関する論点を紹介します。
IFRS ICは,関係者から寄せられた実務上の問題に関する要望書について検討を行い,基準開発のアジェンダに追加すべきか否かの評価を行っています。これは,企業によるIFRSの適用をサポートする活動の一環としてなされているものです。この評価の過程で,寄せられた要望書に関する論点を基準開発のアジェンダに追加しないことを決定することがあります。このような決定は,IFRSの適用に関するIFRS ICの見解とともに,「アジェンダ決定」として一般に公表されます。「アジェンダ決定」自体に規範性はないものの,IFRSの適用においては有用なものといえます。
IFRS ICでは,クラウド・コンピューティング契約の顧客側の会計処理について,2018年9月,11月及び2019年3月の3回にわたり議論され「アジェン...
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