Q&Aコーナー 気になる論点(244) 株式報酬の会計処理(3)

解説

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

‐業績連動型の報酬費用総額の測定‐
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 業績連動型の報酬費用総額は,現金を対価とする場合,業績条件の確定日において確定した金額で,自社の新株予約権を対価とする場合は付与日の公正な評価単価と権利確定数に基づいて,それぞれ測定されますが,自社の株式を対価とする場合はどのようになるのでしょうか。

2019年5月27日公表の日本公認会計士協会 会計制度委員会研究報告第15号「インセンティブ報酬の会計処理に関する研究報告」(以下「研究報告」)では,現状,金銭債権等を現物出資とするスキームが一般的であり,この場合,当該金銭債権等(現物出資財産)の給付期日における時価が,費用総額となるとしています。

<解説>

業績連動型の報酬費用総額の測定(1)‐測定の時点

業績連動型の報酬は,売上や利益などの経営指標や株価などと連動して支給額が決定されるため,業績条件が確定しないと費用総額も確定しないという特徴があります。

対価が現金であれ自社の株式やオプションであれ,その費用総額をいつの時点の価値で測定するかにつき,以下が考えられます。

(1) 付与日(契約締結日...