世界のIFRS適用事例 Case15 選手の登録権

解説
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マンチェスター・ユナイテッド(英国),ユヴェントス(イタリア),ボルシア・ドルトムント(ドイツ)。いずれも強豪の欧州のサッカークラブですが,実は,これらのクラブには,株式が証券取引所に上場されているという共通点があります。今回は,ユヴェントスのアニュアルレポートを題材に,選手の登録権(無形資産)の会計処理を取り上げます。

選手の登録権(Players' registration rights)とは

言うまでもなく,サッカークラブの成績を左右するのは,優秀なプレーヤーを獲得できるかどうかです。特にW杯開催直後の時期は,これまで無名であった選手がW杯での活躍で一躍名を上げ,高額な移籍金でビッグクラブに引き抜かれるといった記事が,しばしば新聞を賑わせます。

これらの選手の移籍金の支払いは,サッカークラブにおいては「選手登録権」の売買として処理されており,財務諸表では無形資産として計上されています。ユヴェントスは2018年6月末日現在で3.3億ユーロ(日本円で約422億円)強の選手登録権を計上しており,これは総資産全体の約43%を占めています。

選手登録権は,選手獲得の際に支出した金額...