時事談論 vol.22「子会社上場」

解説
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●親子上場のこれまで

かつての日本では,新たな事業は自ら立ち上げ,ある程度の規模になれば分離して子会社化し,その後多くの親会社は,一人前の証として大事に育てた子会社を上場させるといったことが当たり前のように行われてきた。子会社としても,上場会社になれば優良会社の仲間入りということで,取引関係や人事採用の面で有利に働き,業績も向上するとの期待から士気も上がり,目指すべき一つのゴールとして,我が国ではグループ経営戦略の重要な施策として位置づけられてきたところがある。

そして,子会社が上場した後も,親会社は子会社株式をすべて放出して親子関係を断ち切るわけではなく,親子関係は継続し,さらにその関係はグループ経営戦略の観点から強化され,親会社リードで上場子会社の経営にも重要な影響を与えてきたと思われる。

●子会社経営の難しさ

それでも,業績が好調なうちは誰も文句は言わなかったであろうが,景気低迷が続く中で,徐々に子会社の業績も芳しくなくなると,その原因は親会社が子会社の経営に口出しするからではないか,子会社のためというよりも親会社のために子会社を利用して経営をしているからではないかなど,...