時事談論 vol.23「内部統制報告制度の展望」

解説
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●内部統制報告制度の現状

地方自治体において,2020年度から内部統制評価報告制度が始まる。金融商品取引法の下,上場企業において実施されている内部統制報告制度と同様,最高責任者である首長の名の下に,自治体の内部統制を評価し,その結果を報告書として議会及び住民に公表するものだ。

民間と異なり,対象がすべての自治体ではなく,都道府県と政令指定都市に限られていることや,監査を行うのが監査法人ではなく,各自治体の監査委員であること,さらに,運用評価については,サンプリング等は行わず,自治体における非違事例の報告をもって評価結果とすること等の特徴があるが,民間に遅れること10年余りを経て,地方自治においても内部統制報告が導入されることとなった。現在,各自治体では,制度対応に追われていると聞く。

一方で,本家本元の上場企業における内部統制報告制度の方はどうだろうか。

2008年4月1日に制度が導入されて10年が経ち,昨年は,この10年を振り返るシンポジウム等も実施されていた。そこで繰り返し指摘されていたのは,現在,同制度がかなり形骸化してしまっており,その意義が失われているのではないかとい...