FASBコメント募集「のれん等の会計処理」に提出されたコメントの動向の分析(速報)

解説

大阪経済大学大学院 経営情報研究科 客員教授 元パナソニック株式会社 理事 山田 浩史

~のれんの償却及び減損モデルの再導入への賛否など~
( 16頁)

1.はじめに

米国財務会計基準審議会(FASB)は,2019年7月9日にコメント募集「識別可能な無形資産及びのれんの事後の会計処理」(以下「コメント募集」という。)を公表した。コメントの提出期限は2019年10月7日で,本稿の執筆時点(2019年10月末)で,約100件のコメントがFASBに提出されている

FASBは,このコメント募集を行った背景には,近年,のれん及び無形資産の減損の情報の便益が,当該情報の作成及び監査のコストを正当化するかについて関係者から懸念が聞かれていることがあるとしている。コメント募集は,このような懸念や事業環境の進化に対応して,現行の会計モデルを変更することが必要かどうかを判断するためにフィードバックを得ることが目的とされている。

また,のれんの事後の会計処理については,国際会計基準審議会(IASB)も,のれん及び減損のリサーチ・プロジェクトとして,のれんの事後の会計処理等に関する議論に取り組んでいる。

本稿は,コ...