Q&Aコーナー 気になる論点(252) 会計上の見積りの開示

解説

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

‐開示府令と企業会計基準公開草案第68号‐
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 企業会計基準委員会(ASBJ)は,2019年10月30日に企業会計基準公開草案第68号「会計上の見積りの開示に関する会計基準(案)」(見積開示基準案)を公表しています(コメント期限:2020年1月10日)。この記載と「企業内容等の開示に関する内閣府令」(開示府令)による記載との関係は,どのようになるのでしょうか。

開示府令では,有価証券報告書の「第2事業の状況」「経営者による財政状態,経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」(MD&A)において,記載すべき事項の全部又は一部を財務諸表注記において記載した場合には,その旨を記載することによって,当該注記において記載した事項の記載を省略することができるとしています。このため,見積開示基準案に従って注記した場合も,その旨を記載すれば足りると考えられます。

<解説>

見積開示基準案(1)‐経緯

見積開示基準案では,基準諮問会議に対して,IAS第1号「財務諸表の表示」125項において開示が求められている「見積りの不確実性の発生要因」について,財...