Q&Aコーナー 気になる論点(253) 収益の表示科目

解説

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

‐企業会計基準第29号の改正案①‐
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 企業会計基準委員会(ASBJ)は,2019年10月30日に,企業会計基準公開草案第66号「収益認識に関する会計基準(案)」(改正基準案)や,企業会計基準適用指針公開草案第66号 「収益認識に関する会計基準の適用指針(案)」(改正適用指針案)などを公表しています(コメント期限:2020年1月10日)。これらでは,顧客との契約から生じる収益の額を,企業の実態に応じて,適切な科目をもって損益計算書に表示することを提案しています。わが国のIFRS任意適用企業では,どのような表示科目を用いているのでしょうか。

IFRS任意適用企業の7割が「売上収益」,2割が「売上高」を用いています。

<解説>

改正基準案(1)‐経緯

ASBJは,2018年3月30日に,わが国における収益認識に関する包括的な会計基準として,以下を公表しています。

(1)企業会計基準第29号「 収益認識に関する会計基準

(2)企業会計基準適用指針第30号「 収益認識に関する会計基準の適用指針

企業会計基準第29号では,早期適用する場合の必要最低限...