Q&Aコーナー 気になる論点(255) 自由度の高いIFRSによる表示

解説

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

‐資本の表示‐
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Q  2019年12月13日(金)の日本経済新聞朝刊では,国際会計基準(IFRS)に関して「高い自由度,混乱招く」という見出しで,IFRS採用企業同士でも比較しにくい部分があるなど「使いにくさ」を指摘する声も目立つとしています。営業利益の定義が多数存在しているというのは常識的なものですが,資本の表示は,より混沌としているのではないでしょうか。

A

国際会計基準審議会(IASB)は,IAS第1号「財務諸表の表示」を置き換えるように,2019年12月17日に公開草案(ED)「全般的な表示及び開示(General Presentation and Disclosures)」(2019年12月ED)を公表し,営業利益の定義などを提案しています。しかし,資本の表示について大きな変更の提案はなく,引き続き混沌としています。

<解説>

IFRS任意適用企業における開示(1)‐営業利益

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