新春特別寄稿 共通の目的に向けた共同作業―2019年を振り返る

解説

国際会計基準審議会(IASB) 議長 ハンス・フーガーホースト

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本年もIASBの目的を支持してくださる本誌の読者の皆様に新春と感謝のメッセージをお伝えできることを大変うれしく思います。

2019年はIASBにとって実りある年でした。世界中の金融市場に透明性,説明責任,効率性をもたらすというIASBの使命に向けて,ステークホルダーの皆様とともにいくつかの大きな足跡を残すことができました。

新しい日本の時代,新しい日本の理事,新しい日本のIFRS適用企業

初めに,日本の皆様には日本の歴史の新たな章となる天皇陛下のご即位を謹んで心よりお喜び申し上げます。また,日本におけるIFRSの任意適用も皇位継承と同様に滞りなく進展したことを非常に嬉しく思います。日本ではIFRSを適用する上場企業の数が増加しています。2019年11月現在,その数は210社を超え,その時価総額は日本の上場企業の時価総額全体の3分の1を超えました。この傾向は2020年も続くと期待しています。

世界中で日本ほど私を歓待してくれる居心地の良い国はありません。東京にはIFRS財団のロンドン以外の唯一の拠点であるアジア・オセア...