時事談論 vol.43「会社法改正の盛り上がりがいまいちなのは何故?」

解説
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●会社法の一部を改正する法律が成立

2019年12月4日に,会社法の一部を改正する法律が参議院本会議で可決され成立した。

今回の改正では,かねてより世間を騒がせていた社外取締役の設置がようやく実現し,義務化されたこととなる。長かったというのが正直なところである。

社外取締役の設置義務化の改正については,ご記憶のある方も多いかと思うが,平成26年(2014年)改正時の附則においては,平成26年改正法の施行後2年を経過した場合において,企業統治に係る制度の在り方について検討を加え,必要があると認めるときは,所要の措置を講ずるものとされていたことによるものである。

確かに,社外取締役候補者が探せない中で,義務化を強行すれば,法令違反が続出するのが目に見えていたわけだし,また,形式的に社外ということだけで数合わせの候補者を選任するといった本末転倒な実務上の混乱が懸念されていたとすると,当時,社外取締役の設置義務化の先延ばしはやむを得なかったといえよう。

●コーポレートガバナンス・コードのおかげ?

最近では,東証上場会社の98%相当が社外取締役を置いており,設置義務化の土壌が整ったといえるよ...