書評 加藤 裕則 著『会社は誰のものか‐経済事件から考えるコーポレート・ガバナンス』
解説
伊藤忠商事株式会社 理事 別府 正之助
(彩流社刊/本体1,700円+税)
( 24頁)
読み応えのある本に出合えたことに感謝している。おかしな会社が減り,まともな会社が増えれば,必ず社会は良くなり,そこで暮らす人々がより幸せになれると信じさせてくれる良書である。
会社で働く人はもちろん,会社の外にいる方にもおすすめしたい。
著者は現役の新聞記者
著者の加藤裕則氏は朝日新聞の現役記者である。記者生活30年のうち,その半分は東京・大阪・名古屋の経済部に所属して,多くの企業や経産省,経団連などで取材を担当してきたという。
最近の10年間は次々と発生する経済事件の取材と出稿で多忙な中,コーポレート・ガバナンスや会計監査について研究を続け,ほぼ2年をかけて今回の出版にこぎつけたものである。
市民目線の問題意識
経営者でもない,学者でもない,法律の起案者でもない,コーポレート・ガバナンスに無縁の一般市民あるいは現場で働く労働者が持つ疑問を,新聞記者の目を通して投げかけている。
「会社とは一体だれのものか」,「高名な会社がなぜ次々と問題を起こすのか」,「会社が人の思想を支配するような風潮が見られるが,いったい誰が...
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