<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第6回 会計基準の役割(その3)
解説
国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継
( 34頁)
オンバランスか? オフバランスか?
自分の放ったショットがミスショットだったにもかかわらず,思わぬ幸運でグリーンにオンした場合はうれしいが,例えばリース債務をバランスシートにオンすることを喜ぶ人はあまりいないようだ。すでに注記で十分な情報が開示されているものを,わざわざ仕訳を振ってバランスシートに載せることに弊害は感じても意義は感じないという人も多い。しかし,IASBは2016年に公表したIFRS第16号「リース」で,オペレーティングリースも含む全てのリース債務をオンバンスすることを要求している。IFRS第16号以前ではオペレーティングリースはオフバランスだった。それが突然,オンバランスになるのである。
今までオフバランスだったものが,オンバランスになるという事は,今までなかったものが突然姿を伴って現れるということで,海が陸地になる,あるいは空気がコンクリートになるようなものだ。誰が勝手にそんなことを決めるのか?会計基準が決めるのである。
会計処理は,目の前にある経済事象を資産,負債の定義に当てはめて,定義に当てはまれば,認識す...
- 経営財務データベースで続きを読む
-
無料 2週間のお試しはこちら
すぐに使えるIDをメールでお送りします