時事談論 vol.49「経営者は何のための対話か分かっているのか?」

解説
( 36頁)

●建設的な対話の重要性

スチュワードシップ・コードやコーポレートガバナンス・コードの浸透により,ようやく我が国においても投資家や経営者の意識も変わるなど,その効果が出てきたようである。

あれほど変わらなかった強固な株式の持合構造も,企業価値の持続的向上の観点から,徐々にではあるが解消が進んでいる。

また,財務諸表だけでは読み取れない,企業の価値創造ストーリー等の説明については,投資家からのリクエストが多いようであり,企業としてもそれに応えようとして,統合報告書等を自主的に作成する会社が確実に増えてきた。

今後は,実効性のある運用を期待するためにも,全ての上場企業と投資家との建設的な対話を促す開示情報の充実が何よりも重要であると思う。

●非財務情報の重要性

統合報告書に代表されるように,国際的には各種団体による非財務情報の議論が従来から盛んに行われている。IIRC(International Integrated Reporting Council)はその代表的な団体であるが,現在も統合報告に関する熱心な議論が行われており,統一基準設定に向けての議論の行方を皆が注目している。

それにし...