新型コロナウイルスが席巻する中で,2020年事業のリスクはどうあるべきか?

解説

野村総合研究所 上級研究員 三井 千絵

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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)はこれを書いている3月20日現在,連日世界中で感染者数を拡大している。日本はクルーズ船での感染者数増大から,2月中旬には欧米より早く“不要不急の集会”の自粛を求めたが,それは12月決算企業による決算説明会が終わり,株主総会シーズンが近づいた頃だった。続けて上場企業の約70パーセントである3月決算企業の決算説明会,そして株主総会がやってくる。

説明会,株主総会に向けたOne on Oneミーティングのやり方から,そこで当然話題となるであろう事業への影響や,いかに開示を行うかといった今後のマネジメントの対応が問われてくる。

そのような中,筆者は3月上旬に投資家・アナリストに緊急でアンケートを実施し,投資家との対話,決算説明会などの対応について,今投資家が求めることなどを聞いた。そしてこの未曾有の状況に対しマネジメントにどのような対応を望むか,今期の有価証券報告書において,事業のリスクをどう開示してほしいかについて意見を集めた。企業の報告書作成部署だけではなく,マネジメントの方々にも参考にしていただ...