時事談論 vol.53「社会貢献に繋がるCPE」

解説
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●呼び覚まされた記憶

野村克也元監督が2020年2月に亡くなられた。このニュースを見て呼び覚まされた記憶がある。公認会計士に求められる継続的専門研修(CPE=Continuing Professional Education)(以下「CPE」という。)である。具体的には,日本公認会計士協会(以下「協会」という。)のある地域会が,野村克也氏を招いた講演会を企画し,CPEの付与対象とするよう申請したところ認められなかったのである。野村克也氏に関しては,往年の選手時代の活躍以上に,監督時代に選手に配布した「ノムラの考え」には,戦術・戦略論,データ・心理分析に加え,社会人としての生き方まで網羅されていた。また,これらを基礎として,「野村ノート」等の多数の著書が出版され,多くのビジネスマンの福音になったことは万人が認めるところであろう。

●CPE制度とは?

協会は,公認会計士としての資質の維持・向上等を目的として,また,監査環境等の変化への適応を支援するため,協会会員にCPEを義務付けており,3事業年度で合計120単位以上の履修を求めている。2004年4月には,公認会計士法第28条にお...