ハーフタイム 環境汚染とコロナ禍の共通性と関連性

解説
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地球温暖化による災害が相次ぎ,環境問題への関心が世界的に高まってきた今年2月,会計専門家団体による共同声明文;「気候変動に対して,今,アクションを」が発出され,会計にとってのESG元年が始まった。と同時に,コロナ禍が拡散し,いまや人類の半数が外出禁止の状態にある。これは偶然の一致かも知れないが,他にも環境汚染とコロナ禍には共通点がいろいろある。重要性の順に列挙しながら,日々の情報を省察してみよう。

1)信頼できる情報を速やかに共有し,科学的に立証された事実に基づいて対処方針を決定すべきこと。そこで必要となるのは,物理学から生物学や化学に至る科学的エビデンスであり,タコつぼ型専門家から視野の広い良識人への転換である。だが非科学的な情報や偽情報に騙され,対応が遅れて悲劇を招く事件は,先進国でも途上国でも少なくない。

2)資本主義社会は環境汚染を厭わない成長至上主義や株主利益第一主義からESGを重視するステークホルダー主義へ,企業は短期利益追求から持続可能性と長期利益主義へと移行し,社会の問題解決こそ企業価値創造の源泉であることがコンセンサスになっている。また,地球上で暮らす70...