<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第10回 のれん(その3)
解説
国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継
( 50頁)
神学論争か,水掛け論か
長年議論はされているが,永久に結論が出ない議論のことを神学論争という。神がいるのかいないのかについて,人類は長年議論を尽くし,もちろん結論はまだ出ていない。しかし人類はその長い議論の過程に様々な文学などの芸術や哲学,そして科学や物理学の基礎を発展させて来た。もし神学論争を早々に停止していたら,人類の財産ともいうべき学びや探求という精神は醸成されなかったかもしれない。
一方で,同じような議論を表現する言葉として水掛け論という言葉がある。こちらの場合はお互いが言いたいことを言い合っているだけで,全く歩み寄りがない。それこそ,バケツで水をかけあっているだけのことだ。水掛け論からは何も生産的な成果物は生まれてこない。それこそ時間と労力の無駄である。
会計の世界にも長年議論されていて,いまだ結論の出ていないものがある。少なくとも多くの日本の関係者はいまだ結論が出ていないと思っている。それが,のれんは償却すべきか,するべきでないかという議論である。連結調整勘定というものがあった頃,話は簡単だった。連結決算の手続きの中...
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