時事談論 vol.57「貶められた独立性」

解説
( 52頁)

●独立性に関するルール

独立性については,公認会計士法第一条の二に,「公認会計士は,常に品位を保持し,その知識及び技能の修得に努め,独立した立場において公正かつ誠実にその業務を行わなければならない。」と定めている。具体的,詳細なルールは,日本公認会計士協会の「職業倫理に関する解釈指針」等で規定されている。また,監査法人は独自により厳格なルールを設定している他,海外提携先による独立性ルールの順守も求められる。「士」業の内,例えば弁護士業界が重要視するのは「弁護士の自治」であり,弁護士法人等が留意するのは「Conflict」というように,重点が大きく異なっている。

●監査報告書にも記載される独立性

監査報告書の末尾には,「会社と当監査法人又は業務執行社員との間には,公認会計士法の規定により記載すべき利害関係はない。」との記載がある。実際に利害関係がある場合には,監査の受嘱はできないため,最近のKAMに関する論調によれば典型的なボイラープレートになるが,この記載は監査人と被監査会社との間には利害関係がないことを強調するために,あえて明示させていると解説される。

●精神的独立性と外見的...