英文開示実務担当者のためのIR翻訳入門講座 第6回 整理された情報を英文にする:ワードレベル

かえで翻訳株式会社  寺﨑 徹哉
  岡村 憲一郎

( 40頁)

これまで第3回( No.3465・28頁 )でパラグラフレベル,第4回( No.3467・36頁 )と第5回( No.3469・34頁 )でセンテンスレベルの説明をしてきたが,パラグラフとセンテンスレベルで大事なことは,「セオリー」を知りこれを使いこなすことであった。これに対して,今回のテーマであるワードレベルで大事なことは,「チョイス」,すなわち「単語の選択」である。そこで,本稿の前半では単語の選択を「冗長性(wordiness)の排除」という観点から考えてみたい。なお第1回( No.3461・36頁 )で,ワードレベルの論点としてはこの他に,強い動詞(strong verb)とコロケーション(collocation)を挙げていたが,前者については「冗長性の排除」という観点から紹介する。また後者については参考資料としてURLを紹介するにとどめる。また本稿の後半では,日本企業が対外発信する英文で最も軽視されていると言っても過言でない句読法(punctuation)について解説する。

冗長になりがちな英訳文

筆者は,第1回で「同じ情報を伝える限りにおいて,英文のワード数は少なければ少ないほどよい。」と書いた...