会計知識録　第９回　休業要請による損失は特別損失に計上できる？～新型コロナウイルスが会計に与える影響～

　公認会計士　溝口 聖規

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４～６月期で目立った「コロナ特損」

上場企業の2020年４～６月期決算において，従来は見られなかった決算処理が相次いで発表されました。新型コロナウイルスの影響による店舗の休業や工場の稼働率低下に伴うコストを特別損失に計上するというものです。日本経済新聞によれば，上場企業2,088社（金融除く）の特損は合計7,000億円強と，過去５年で最も多いといった報道がされています。

３月決算会社の2021年３月期第１四半期決算において，新型コロナウイルスに起因する特別損失を発表した会社は240社程度に上ります（ No.3475・８頁 ）。そのうち，100億円以上の特別損失を計上した主な会社は図表のとおりです。

【図表】コロナに起因する特別損失を発表した会社

会社名業種特別損失理由日産自動車輸送用機器393億円新型コロナウイルス感染拡大による操業停止等に伴う損失マツダ輸送用機器205億円新型コロナウイルス感染症による操業停止等に伴う損失スズキ輸送用機器154億円新型コロナウイルス関連損失三越伊勢丹HD小売業123億円新型コロナウイルス感染症による損失三井不動産不動産業118億円新型コロナウイルス感染症による損失...