カウントダウンKAM適用 第4回 草案作成の留意点①

日本公認会計士協会 監査基準委員会副委員長 清水 健太郎

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ここからは2回にわたって2020年3月期決算においてKAMを早期適用した事例及び監査基準委員会研究資料第1号「「監査上の主要な検討事項」の早期適用事例分析レポート」を参考にしながらKAM草案作成にあたっての留意点をまとめていきます。第4回は,「監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由」の記載を中心に解説します。

なお,文中意見にわたる部分は筆者個人の見解であり所属する組織の見解ではありません。

1.KAMに記載すべき事項

KAMに記載すべき事項として,監査基準委員会報告書(以下「監基報」)701「独立監査人の監査報告書における監査上の主要な検討事項の報告」第12項において以下の記載が求められています。

(1) 関連する財務諸表における注記事項がある場合は,当該注記事項への参照

(2) 個々の監査上の主要な検討事項の内容

(3) 財務諸表監査において特に重要であるため,当該事項を監査上の主要な検討事項に決定した理由

(4) 当該事項に対する監査上の対応

これらの記載にあたって,監査・保証実務委員会実務指針第85号「監査報告書の文例」では,様式として以下の記載例が掲げられており,監査人は当該様式を参考にし...