実務対応報告第40号「LIBORを参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱い」の概要

企業会計基準委員 専門研究員 遠藤 和人

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Ⅰ.はじめに

企業会計基準委員会(以下「ASBJ」という。)は,2020年9月29日に,実務対応報告第40号「LIBORを参照する金融商品に関するヘッジ会計の取扱い」(以下「本実務対応報告」という。)を公表 した。本稿では,本実務対応報告の概要を紹介する。なお,文中の意見に関する部分は筆者の私見であり,ASBJの見解を示すものではないことを,あらかじめ申し添える。

Ⅱ.本実務対応報告の公表の経緯

現在,2014年7月の金融安定理事会(FSB)による提言に基づく金利指標改革(以下「金利指標改革」という。)が進められているが,この報告書の中では次の提言が行われている。

(1) ロンドン銀行間取引金利(LIBOR),欧州銀行間取引金利(EURIBOR),全銀協TIBOR(TIBOR)といった既存の金利指標である銀行間金利(IBORs)の信頼性と頑健性の向上,及び銀行の信用リスク等を反映しないリスク・フリー・レートの特定

(2) それぞれの金利指標を,金融商品や取引の性質を踏まえて利用していくことが望ましい旨

こうした中,LIBORの公表が2021年12月末をもって恒久的に停止され,LIBORを参照してい...