会計知識録 第11回 純粋持株会社と事業持株会社の違い

~ヤマトが事業持株会社へ移行する目的は何か?~

 公認会計士 溝口 聖規

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ヤマトホールディングス(以下,ヤマト)は,2021年4月に現在の純粋持株会社から事業持株会社に移行する構造改革プランを発表しました(2020年1月23日の適時開示など)。

組織再編では,純粋持株会社であるヤマトが,ヤマト運輸株式会社,ヤマトロジスティクス株式会社,ヤマトグローバルロジスティクスジャパン株式会社を含む100%子会社7社を簡易吸収合併するとともに,100%子会社のヤマトシステム開発株式会社の事業の一部を簡易吸収分割して承継することによって事業持株会社となり,事業会社となったヤマトが,新たな経営体制である「リテール」などの4事業本部と,「輸送機能」などの4機能本部に再編する計画です。

ヤマトは,組織再編の目的として,「現在の機能単位の部分最適を,顧客セグメント単位の全体最適な組織に変革し,経営のスピードをより速めるため」としています。

今回は,純粋持株会社のメリット・デメリット等の概要を解説するとともに,ヤマトが事業持株会社へ移行する理由について考えてみたいと思います。

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