カウントダウンKAM適用 第8回 後悔しないためのKAM準備の総点検

日本公認会計士協会 監査基準委員会副委員長 齋藤 哲

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2021年3月期決算を目前に控え,監査報告書に記載するKAM草案について監査人との協議をほぼ完了した会社も多いと思います。一方で,なかなか調整が進まずに,やっと監査人からKAM草案を受領した会社もあるかも知れません。そこで,今回は,日本公認会計士協会の「「監査上の主要な検討事項」の早期適用事例分析レポート」(2020年10月8日)の中から,早期適用会社の財務諸表作成責任者,監査役等,監査人の「生の声」を踏まえたうえで,監査基準委員会KAM草案の総仕上げとして,当月に決算日を迎えるこの時期に留意すべき事項について,解説します。

なお,文中意見にわたる部分は筆者個人の見解であり所属する組織の見解ではありません。

1.「監査上の主要な検討事項」の早期適用事例分析レポート

「「監査上の主要な検討事項」の早期適用事例分析レポート」(以下,「レポート」と略)は,日本公認会計士協会が,2020年3月期までの有価証券報告書におけるKAMの早期適用事例48社を様々な視点から分析した結果を取りまとめたものです。この中には,監査人だけでなく,有価証券報告書提出会社の監査役等及び財務諸表作成責任者の方々,財務諸表利...