会計知識録　第13回　減資はどのような場合に行うのか？

～減資のメリットとデメリットを事例で解説～

　公認会計士　溝口 聖規

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昨年12月，マレーシアの格安航空会社（LCC）大手エアアジアの長距離部門，エアアジアＸ（AAX）が，累積赤字を削減するために資本金を99.9％減資すると発表しました。これによりAAXの資本金は，15億3,000万リンギ（約393億円）から153万リンギへと99.9%減少することになります。2020年には，日本国内ではグリー，ジーンズメイト，カッパ・クリエイトなどが減資を発表しており，つい先日には，旅行大手のJTBが資本金を23億400万円から１億円に減資するとの報道がありました。シャープ，日本航空（JAL），東芝などの減資も記憶に新しいところです。

減資は資本金の額を減少する手続きで，経営難に陥った会社に多く見られます。今回は，減資の意義，手続，会計処理，メリットとデメリットなどについて，事例を交えて大づかみに解説してみたいと思います。

減資とは

会社法において，減資は資本金を減少する手続きです。減資には，実際に出資額を株主に払い戻す有償減資と帳簿上の資本金の金額を減少する無償減資があります。

減資は，会社の財産を減少させるという重要な行為に該当するため，原則として株主総会の特別決議が必要にな...