直前点検!「会計上の見積りの開示」

-2021年3月期決算で留意すべきポイント-

 公認会計士 山田 善隆

( 08頁)

1.はじめに

3月決算会社においては,企業会計基準第31号「 会計上の見積りの開示に関する会計基準 」(以下,「見積り開示基準」という)の適用が迫るなか,具体的なガイダンスや参考にできる事例等が少ないことなどから適用準備に難しさを感じるケースも多いように見受けられる。

そこで,本稿では,2021年3月期決算における見積り会計基準の適用準備にあたって,あらかじめ検討しておきたいポイントを確認する。なお,会計上の見積りに関する理解や先行的な開示の実例等については,本誌 No.3484No.3487 の連載解説「これでわかった!『会計上の見積りの開示』」(全4回)を参照いただきたい。

なお,文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをあらかじめ申し添える。

2.開示目的の理解

見積り開示基準は,会計上の見積り項目の不確実性に関する財務諸表利用者の情報ニーズが存在することを踏まえて,「翌年度の財務諸表に重要な影響を及ぼすリスク...(中略)...がある項目における会計上の見積りの内容について,財務諸表利用者の理解に資する情報を開示すること」を目的としている[見積り開示基準4項]。会計上の見積りの状況は企業によって異...