改正企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」について

企業会計基準委員会(ASBJ) 専門研究員 加藤 紘司

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Ⅰ.はじめに

企業会計基準委員会(以下「委員会」という。)は,2021年3月26日に,改正企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」(以下「改正適用指針」という。)を公表した

委員会は,我が国における収益認識に関する包括的な会計基準として,企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」(以下「会計基準」という。)及び企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」(以下「適用指針」という。)を,それぞれ2018年3月30日に公表し,それぞれ2020年3月31日に改正している。今般,後者の適用指針をさらに改正している。

本稿では,改正適用指針において改正された部分の概要を紹介する。なお,文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることをあらかじめ申し添える。

Ⅱ.改正適用指針の公表の経緯

会計基準の第96項においては,会計基準における定めが明確であるものの,これに従った処理を行うことが実務上著しく困難な状況が市場関係者により識別され,その旨委員会に提起された場合には,公開の審議により,別途の対応を図ることの要否を委員会において判断することとしている。

従前...