会計知識録 第15回 事例から見るオフバランスの功罪とは?
公認会計士 溝口 聖規
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JT(日本たばこ産業),リクルートホールディングス,横浜ゴム,電通グループなど,最近,本社ビルの売却を進める会社が増えています。
本社ビルなどの資産を売却すると,売却された資産は貸借対照表(B/S)から除外されます。このように,B/Sから資産が除外されること,あるいはB/Sから除外された状態を「オフバランス」と言います。
今回は,オフバランスの様々な形態について,その目的,意義,メリットとデメリットなど,事例を交えて説明します。
本社ビル売却の背景として,新型コロナウイルスによる業績悪化だけでなく,働き方改革やリモートワーク推進など,働き方の多様化も指摘されます。他方,企業経営における本社ビルの位置づけも変わりつつあります。1981年竣工のリクルートの本社ビルは,会社を象徴する拠点として知られました。以前は,都心の一等地に立派な自社ビルを構えることは,会社の信用力を示したり,優秀な従業員の採用に重要な役割を果たしていました。しかし,時代の変化にともない本社ビルの役割が変化したことも,本社ビル売却の背景にはあると思われます。
資産売却によるオフバランス
報道によれば,リクルートは『新型コロナウイル...
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