Q&Aコーナー 気になる論点(288) 2021年アジェンダ協議(2)

‐2019年公表のIAS第1号改正案との関係‐

早稲田大学大学院 会計研究科教授 秋葉 賢一

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 国際会計基準審議会(IASB)が2021年3月30日に公表した情報要請「第3次アジェンダ協議」に記載している潜在的なプロジェクトには,2019年12月に公表された公開草案(ED)「全般的な表示及び開示」(IAS第1号改正案)において変更を検討しないとするものも含まれています。これらは,どのような関係にあるのでしょうか。

IAS第1号改正案の目的は,主に損益計算書に含まれる情報が伝達される方法を改善することであり,範囲を拡げれば,その改善を遅らせる可能性があるため,限定的な変更を提案していました。情報要請では,より焦点を絞ったフィードバックを引き出すため,22の潜在的なプロジェクトを記載しています。

<解説>

情報要請の目的

情報要請において,今回のアジェンダ協議の目的は,以下に関する意見の収集であり(1項),IASBは,これらに関する質問に対し2021年9月27日までに書面で受け取ったすべてのコメントを検討するとしています(10項)。

(1) 戦略的方向性とIASBの活動のバランス

(2) 作業計画に追加される可能性のある財務報告上の論点の優先順位の判断基準

(3) 作業計画に追加される可能性...