【WEB座談会】アナリストの仕事と役割 第6回 IFRS財団サステナビリティレポーティングに思うこと

三菱UFJ信託銀行 アセットマネジメント事業部 責任投資ヘッド 加藤 正裕
インベスコ・アセット・マネジメント株式会社 日本株式運用部リサーチ・アナリスト/ヘッド・オブ・ESGジャパン 古布 薫
三井住友DSアセットマネジメント株式会社 責任投資推進室 プリンシパル シニアアナリスト 齊藤 太
東京海上アセットマネジメント株式会社 責任投資部 アナリスト 真中 克明
[司会・進行]株式会社野村総合研究所 上級研究員 三井 千絵

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2020年9月,IFRS財団(財団)は協議文書「サステナビリティ報告」 を公表し,非財務報告書の基準開発主体であるサステナビリティ基準審議会(SSB)を設置することの是非などを問うた。その背景には「非財務報告について多くの基準が乱立しており情報の分断の恐れがある」ことや「かつて会計基準を統一したように,国際的に比較可能な基準を策定する必要性が高まっている」ことが挙げられる。協議文書には全世界から600件近い意見が寄せられた。一部には,財団には非財務報告基準開発の経験がないことからその資質に疑義を呈する意見もあったが,多くが「非財務報告は財務報告と一貫性があるべきで,そのためには財団が取り組むのが望ましい」とSSBの設置に好意的だった。

今回は,そうした財団の取組みをはじめ,非財務情報に関する現状と課題などについて投資家の視点で議論していただいた(座談会はオンラインで4月16日に行った)。

1.非財務情報との接点

三井  まずは自己紹介と,非財務情報との接点や最近の動向へのコメントをお願いします。

加藤 三菱UFJ信託銀行で責任投資の取組みを推進している加藤です。弊社ではアナリストが財務情報だけで...