JICPA 工事売上・コスト総額の見積りなどの監査に留意を

「監査提言集」で手続改善のポイント示す
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日本公認会計士協会(JICPA,手塚正彦会長)は7月1日,2021年版の監査提言集を公表した。会員の監査業務等の改善のために取りまとめているもの。会計上の見積りの監査における「工事の進捗度に関連するコスト総額の見積り誤り」など収益認識に関するものや,複数年にわたる訂正後の監査が新たに挙げられている。

社内資料の恣意的操作などの事例

監査提言集は,JICPAが会員の監査実施状況などについて審査した内容を参考に取りまとめ,2008年から毎年公表している。会員の監査業務等の改善が目的。冒頭には17の提言があり,「重要な虚偽表示リスクは,常時変化しているため,変化を見過ごさない」,「時間的制約のある監査人交代は,監査リスクが著しく高いことがあることを理解する」などが記載されている。

第Ⅰ章「リスク評価及び評価したリスクへの対応」の内部統制の項目には,財務報告に係る内部統制の監査や,社内資料に基づく工事売上の計上などに関するポイントなどが挙げられている。建設業の会社が工事契約について,完成する一時点で履行義務が充足され収益認識する方法を採用していたが,社内資料の日付が恣意的に操作され,売上の計上時期を...