「リモートワーク環境下における企業の業務及び決算・監査上の対応」への取組状況

日本公認会計士協会 常務理事(監査・保証及びIT担当) 結城 秀彦

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1.はじめに

新型コロナウイルス感染症の感染拡大,いわゆるコロナ禍は,ここ1年半ほどの間,決算・監査業務に大きな影響を及ぼしており,対面でのコミュニケーションや現地への往査といった対応に制約が生まれ,企業・監査人の双方において,リモートワークの拡大が進んだ。今般のコロナ禍におけるリモートワークによる対応は,緊急対応という側面もあるものの,多様な働き方を認めるといった側面を有することも考えられるものであり,リモートワークは,将来的にも拡大していく可能性が高いと考えられる。

こうした状況を受けて,日本公認会計士協会(以下,「JICPA」とする。)においては,「リモートワーク環境下における企業の業務及び決算・監査上の対応」を策定し,以下の8つの課題を識別した上で,それぞれに中長期的な観点からの提言や短期的な対応としての留意事項の公表を進めており,JICPAのウェブサイト「リモートワーク環境下における企業の業務及び決算・監査上の対応」(https://jicpa.or.jp/specialized_field/remote/)において,図表1のようにその取組の概要が公表されている。

【図表1】JIC...