CPAAOB コロナ対応、インフラ整備や品質管理部門によるサポートを

2021事務年度の監査事務所検査結果事例集
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公認会計士・監査審査会(CPAAOB,櫻井久勝会長)は7月9日,2021事務年度版の「監査事務所検査結果事例集」を公表した。新型コロナウイルスによる影響と対応を取り上げ,効率的な監査実施のためのインフラ整備,品質管理部門による組織的なサポートなどが求められるとしている。会計上の見積りの監査に関しては,批判的な観点から合理性を検証することを喚起した。

最高経営責任者による直接確認に評価

監査事務所検査結果事例集は,CPAAOB検査における指摘事例などを具体的に紹介している。本年の特徴として,品質管理態勢編と個別監査業務編で中小監査事務所における改善に資するよう「評価できる取組」を充実させたほか,新型コロナウイルスによる影響と対応の項目を追加。個別監査業務編では,財務諸表監査における不正や会計上の見積りなどを記載した。

まず業務管理態勢に係る審査では,根本原因の究明と具体例が挙げられている。会計上の見積りなどの重要な監査領域において定量的な裏付けデータの検討等は不要だと思い込んでいた事例(大手監査法人),品質管理担当者の品質管理・監査手続の水準に対する理解不足の事例(中小法人)などがあった。

品質...