<IFRS COLUMN>暖簾に腕押し 第39回 基本財務諸表(その3)

 国際会計基準審議会(IASB)前理事 鶯地 隆継

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世界にひとつだけの花

SMAPの「世界にひとつだけの花」という歌は,当初は2002年7月に発売されたアルバムの中の1曲に過ぎなかった。ところが,ファンの人気が高く,翌2003年3月にシングルカットされ,最終的にはSMAPの代表曲ともいえる歌となった。この曲がそこまで人気を得た理由は,曲よりも歌詞にあるという。「No.1にならなくてもいい。もともと特別なOnly One」という歌詞が,多くの人の共感を得た。

わが社はもともと特別なOnly Oneである。人間(投資家)はどうしてこうも比べたがる,ひとりひとり(一社一社)違うのに,と言いたくなる経営者の気持ちは非常によくわかる。だから,IFRSでは営業利益を定義していなかった,と言えば言い過ぎかもしれないが,IFRSがこれまで純損益計算書の中に中間的な段階損益(小計)を求めていなかったのは,このSMAPの歌と共通するものがあったからだ。

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現行のIAS第1号「財務諸表の表示」は,純損益計算書において,純損益を表示することを要求しているが,他の具体的な小計は要求していない。ただ,小計に関してひとつ要求していることがある。I...