IFRS財団新トラスティ河野 正道氏にきく

ー就任に当たっての抱負と展望ー
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IFRS財団 トラスティ 河野 正道

<編集部より>

2021年7月1日付でIFRS財団のトラスティに就任した河野正道氏。これまで金融庁の初代金融国際審議官や経済協力開発機構(OECD)の事務次長などの要職を歴任してきた同氏は,IFRS任意適用の開始やIFRS財団アジア・オセアニアオフィスの設置などの重要な局面に携わってきた。そうした経験をIFRS財団のトラスティとしてどう活かすか,また今後の国際的な議論への参画はどうあるべきかなどについてお話をきいた。

(インタビューは6月28日に実施した。)

1.OECDでは気候変動に関連した金融も担当

――まずは,これまでのご経歴をお聞かせください。

2016年7月までは金融庁に所属し,2009年以降の7年間は国際担当をしていました。その2009年以来,金融庁退職後の1年間を除いて,継続して金融安定理事会(FSB)に参加しています。FSBはG20を中心とした主要な金融システムを有する国々の,中央銀行総裁や金融当局トップといった人たちで構成されている会議体です。そこでの国際的な規制改革の議論は,とても勉強になりました。またFSBに参画する中で,証券監督者国際機...