財務諸表等の監査証明に関する内閣府令及び企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令等について

金融庁企画市場局企業開示課 課長補佐 中野 寛之
金融庁企画市場局企業開示課 係長 水島 達哉

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Ⅰ.はじめに

2021年(令和3年)6月25日に「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令及び企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令(令和3年内閣府令第43号)」が公布・施行された。

これは,2020年(令和2年)11月6日付で企業会計審議会(以下「審議会」という。)から公表された「監査基準の改訂に関する意見書」を踏まえ,以下の内閣府令等について,所要の改正を行ったものである。

財務諸表等の監査証明に関する内閣府令 (以下「監査証明府令」という。)

企業内容等の開示に関する内閣府令 (以下「開示府令」という。)

「財務諸表等の監査証明に関する内閣府令」の取扱いに関する留意事項について (以下「ガイドライン」という。)

本稿は,これら改正内閣府令等の主な内容について解説を行うものであるが,意見にわたる部分については,筆者らの私見であることをあらかじめ申し添えておく。

Ⅱ.改正の経緯・概要

近時,我が国では,企業の任意の開示書類や有価証券報告書等の法定開示書類において,経営者による財務諸表以外の情報の開示の充実が進んでいる。これまでも,財務諸表とともに開示される財務諸表以外の情報において,財...