わたしの働き方Vol.13 ~独立公認会計士インタビュー~

 作家・公認会計士 田中 靖浩

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【編集部より】

監査法人以外の場で活躍する公認会計士の方々に,これまでのキャリアや今の働き方などについて聞く本コーナー。今回は,「会計の世界史」の著者でもあるほか,絵本の翻訳や落語家とのイベントなど,幅広い分野で活躍する田中靖浩氏に話を聞いた。

――公認会計士を目指したきっかけを教えてください。

理由は明確で,就職活動をしたくなかったんですよ。就職する代わりに何か難しい資格を取ろうと考え,公認会計士を目指しました。

当時は景気も良く,就職の機会はあったにも関わらず嫌だと感じたのは,商売人の父親やその友人たちの影響がとても強かったように思います。皆,とても自由かつ豪快な性格で,酒盛りしている中に子供の私が入っても,邪険にすることなく輪に入れてもらえました。いつか,自分も仲間に入りたいと思いましたね。サラリーマンではなく,周囲の大人たちのような「商売人」という在り方が私の理想になったのだと思います。

――試験に合格された後,人生の転機となったことは何でしょうか?

試験合格後は先輩から紹介を受けて,外国人が半数以上いる外資系の国際税務事務所にいきなり入社しました。最初の仕事は,「ブラジルの債務の証券化に...