アップデート!非財務情報開示の今 第2回 非財務情報の開示を巡る国内外の動向(2021年7月の動向)

有限責任 あずさ監査法人 開示高度化推進部 倉持 亘一郎

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1.はじめに

国内外の市場関係者の多くが,気候変動を含むサステナビリティ課題への対応は,投資家の投資判断,企業の資金調達に今後ますます重要な影響を及ぼすと考えている。しかし,サステナビリティ分野はいわば発展途上の段階にあるため,様々な組織が非常に速いスピードで対応を進めており,最新動向をキャッチアップすることは容易ではない。また,この分野は国際協調が重要な意味を持ち,様々な議論が海外で先行して行われている。このため,国内の議論の背後にある海外動向に対する理解が,大きな潮流を捉えるうえで有益である。このような観点から,本連載では,サステナビリティ分野における各月の国内外の最新動向を解説している。本稿においては,2021年7月における以下の動向について解説したい。

・金融安定理事会(FSB: Financial Stability Board)は,今後の気候変動に関する国際的な動向に重要な影響を与えうる3つのペーパーを公表した。

・G20財務大臣・中央銀行総裁会議は,その声明において,気候変動対応のあり方について一定の方向性を示した。

・日銀は,金融政策決定会合において,気候変動に関して民間の金融...