S.H.ペンマン(著) 杉本徳栄・玉川絵美(訳)『ペンマン 価値のための会計‐賢明なる投資家のバリュエーションと会計』

(白桃書房/本体4,273円+税)

 同志社大学商学部・商学研究科 客員教授元パナソニック株式会社 理事 山田 浩史

( 40頁)

1.ファンダメンタル投資の現代的名著

本書は,コロンビア大学ビジネススクール(経営大学院)のスティーブン・H・ペンマン(Stephen H. Penman)教授(以下「ペンマン」)のAccounting for Value(New York, Columbia University Press, 2011)の日本語訳(全訳)である。原著者のペンマンは米国を代表する著名な会計学者であり,名著とされる原著は日本語版の刊行が待たれていたが,このたび,関西学院大学大学院の杉本徳栄教授と玉川絵美研究員によって翻訳され,読者にとって読みやすい日本語版として刊行されたことを歓迎したい。

本書のサブタイトルにある「賢明なる投資家」は,ファンダメンタル投資(バリュー投資)の生みの親であり,コロンビア大学ビジネススクールで教鞭をとった,ベンジャミン・グレアム(Benjamin Graham)による古典的名著『賢明なる投資家』(The Intelligent Investor, 1949)に敬意を表して引用されている。財政状態や業績をもとに企業の本質的価値を捉え,市場価格とのギャップを分析して投資するのがファン...