コーポレートガバナンス・コード改訂の概要と改訂に伴う開示のポイント

東京証券取引所 上場部企画グループ課長 池田 直隆

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Ⅰ はじめに

東京証券取引所(以下「東証」という)では,企業が,株主をはじめとするステークホルダーの立場を踏まえたうえで,透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための実効的な枠組み(ベストプラクティス)を示すため,コーポレートガバナンス・コード(以下「コード」という)を定めている。東証は,本年6月11日付でコードの改訂を行い,これとあわせて,金融庁は,コードの附属文書である「投資家と企業の対話ガイドライン」(以下「対話ガイドライン」という)の改訂を行った。

今般の改訂は,2015年のコード制定後,2018年の改訂に続く2回目の改訂となるが,新型コロナウイルス感染症の拡大,デジタルトランスフォーメーション,気候変動など社会・経済環境が急変する中で,金融庁及び東証に設置された「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」(以下「フォローアップ会議」という)において取りまとめられた提言の内容を踏まえたものとなっている。また,東証が,2022年4月4日付で,現在の市場区分をスタンダード市場・プライム市場・グロース市場の三つの市場区分に見直すことを予定している...