2021年3月期の会計方針の変更 5割弱が遡及適用

たな卸資産では遡及適用した事例なし
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2021年3月期の上場2,194社(日本基準)の有価証券報告書を本誌が調査したところ,会計方針の変更21件のうち,10件で「遡及適用した」旨の開示がされていた。ほか,「影響軽微のため遡及適用せず」とした事例が6件,「影響額算定等が実務上不可能」な事例が5件あった。
会計方針の変更の内容別にみると,「計上区分の変更」では4件すべてで遡及適用をしていたが,「たな卸資産の評価基準および評価方法」では遡及適用している事例はなかった。

5割弱が遡及適用の開示

2021年3月期決算の上場2,194社(日本基準)の有報を調査したところ,70件(63社)の会計方針の変更がみられた( No.3521・2頁 )。

会計方針を変更した場合は,原則として,新たな会計方針を過去の期間のすべてに遡及適用する必要がある。ただし,減価償却方法の変更等については,遡及適用は不要とされている。

本誌では,会計方針の変更70件のうち,「固定資産の減価償却の方法」(22件)および「新会計基準の早期適用」(27件)を除いた21件について,遡及適用に係る開示を分類した(図表)。

この結果,「遡及適用した」旨の開示をしていた事例は,全体の5割弱で...