アップデート!非財務情報開示の今 第4回 非財務情報の開示を巡る国内外の動向(2021年9月の動向)

有限責任 あずさ監査法人 開示高度化推進部 新名谷 寛昌

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1.はじめに

本連載企画「非財務情報の開示を巡る国内外の動向」では,各月における国内外の非財務情報に関する最新動向について解説している。非財務情報の開示にあたっては,2021年11月にCOP26の開催が予定されていることもあり,サステナビリティ課題への対応に関する議論が活発に行われており,とりわけ気候変動に関する開示に高い関心が寄せられている。このため,本稿では,2021年9月(一部,8月下旬)における主な動向として,サステナビリティと気候変動に関する開示に焦点を当てながら,以下について解説する。

・ 欧州財務報告諮問グループ(以下「EFRAG」という。) による気候関連の報告基準のプロトタイプの公表

・ 価値報告財団(以下「VRF」という。) によるS&P1200の構成銘柄とされている企業におけるサステナビリティ会計基準審議会(以下「SASB」という。)の基準の利用状況の公表

・ 金融庁による「2021事務年度金融行政方針」の公表

・ 金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ第1回会合の開催

なお,本文中の意見に関する部分は筆者の私見であることを予めお断りする。

2.海外の動向

(1) 気候...