JICPA 記載内容やコミュニケーションが引き続き課題に

KAM本適用1年目に関するアンケート
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3月期決算会社では「監査上の主要な検討事項」(KAM)本適用1年目が終わり,監査人が2年目に向けた準備を進めている頃だろう。本適用1年目を監査人はどう受け止めたのかについて,日本公認会計士協会(JICPA)によるアンケート結果から読み解きたい。

124事務所を対象にアンケート

JICPAは10月29日に,「KAM強制適用初年度における会員へのアンケート」(本適用アンケート)の集計結果を公表している。これは,JICPAが上場会社監査事務所の124事務所を対象として,監査人側の本適用1年目の印象を聞いたものだ。

同じくJICPAからは2020年10月に監査基準委員会研究資料第1号「「監査上の主要な検討事項」の早期適用事例分析レポート」が公表されているが,早期適用分析レポートの別紙4では「監査人に対するインタビュー等」として早期適用に関するアンケート結果が記載されている。本稿では主にこの早期適用と本適用のアンケート結果を比較しながら,本適用1年目の監査人側の受け止めを概観する。

なお,両アンケートは質問項目や回答形式が異なっているため単純比較はできないが,共通する領域のうち①KAMの記載,②会社との...