IFRSをめぐる動向 第137回 「基本財務諸表」プロジェクトの最近の動向(2021年7月~10月IASB会議での再審議)

PwCあらた有限責任監査法人 米国公認会計士 村山 華

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I.はじめに

本連載は,主に国際会計基準審議会(IASB)の月次会議等における討議内容に基づき,IFRSをめぐる最新の動向を伝えることを目的としています。今回は,財務諸表における情報の伝え方の改善として,特に損益計算書に焦点を当てた基準開発が進められている「基本財務諸表」プロジェクトの動向について紹介します。

IASBでは,2019年12月公表の公開草案「全般的な表示及び開示」に対するフィードバックを受けて,2021年3月より再審議が行われています。本稿では,2021年7月,9月および10月のIASB会議で討議された内容を中心に説明します。公開草案に対するフィードバックおよび2021年3月から6月までの再審議の内容は,本連載の第131回「『基本財務諸表』プロジェクトの最近の動向(公開草案に対するフィードバックと再審議の計画)」( No.3498・ 2021年3月15日号 )および第133回「『基本財務諸表』プロジェクトの最近の動向(2021年3月~6月IASB会議での再審議)」( No.3516・ 2021年7月26日号 )の解説をご参照ください。

なお,本稿の内容は今後のIASBの討議状況によって...