会計知識録 第19回 固定資産の耐用年数は変更しても良いの?
公認会計士 溝口 聖規
( 30頁)
3月期決算会社について,直近3期間の固定資産の耐用年数の変更事例を調べたところ,毎年20社前後が耐用年数を変更しており,そのうち,耐用年数を短縮する会社が多いことが分かりました(図表1)。
ところで,耐用年数はそもそもどのように決定するのでしょうか? また,変更はどのような場合に行われるのでしょうか?
今回は,固定資産の耐用年数について解説したいと思います。
【図表1】近年の耐用年数の変更事例
(単位:社)
耐用年数の
変更 |
2019年
3月期 |
2020年
3月期 |
2021年
3月期 |
短縮 | 16 | 11 | 19 |
延長 | 4 | 4 | 3 |
合計 | 20 | 15 | 22 |
※本誌調査
固定資産の耐用年数とは
固定資産は,会社の事業に使用する目的で1年を超えて使用することが見込まれる資産です。このような資産は,取得時にその取得価額を全額費用とするのでなく,使用期間にわたり,徐々に費用として処理することになります。この場合の使用期間に当たるのが耐用年数であり,毎年の費用額が減価償却費です。減価償却費は,毎期計画的,規則的に計上する必要があります(これを企業会計では正規の減価償却と言います)。減価償却費を恣意的に計上できるとすれば,利益調整につながるおそれがあり,毎期...
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