サステナビリティ関連情報開示と企業価値創造の好循環に向けて

~「非財務情報の開示指針研究会」中間報告の概要~

経済産業省 経済産業政策局企業会計室 室長補佐 瀧澤 裕也

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1.はじめに

経済産業省は,2021年6月3日に「非財務情報の開示指針研究会(北川哲雄座長(青山学院大学名誉教授・東京都立大学特任教授))」(以下,「研究会」)を立ち上げた。立ち上げの背景には,昨今の企業の情報開示における非財務情報への関心の高まりや,非財務情報の開示指針を巡る世界的な動向変化がある。こうした状況の下,非財務情報及びその開示指針に関する世界的な動向に関する情報の共有を行いながら,質の高い非財務情報の開示を実現する指針のあるべき方向性を検討することを目的として立ち上げたのが本研究会である。

本研究会は,これまでの5回の開催を経て,2021年11月12日に「サステナビリティ関連情報開示と企業価値創造の好循環に向けて‐『非財務情報の開示指針研究会』中間報告‐」(以下,「中間報告」)を公表した。

中間報告では,2021年11月3日にIFRS財団による国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の設立が正式に表明され,国際的な議論の更なる加速が今後見込まれるタイミングにあることを踏まえ,これまでの研究会における議論を提言として取りまとめるとともに,国際的な動向や個別分野における議論(気候...