INTERVIEW IASB理事にきく 3年間の振り返りとこれからの基準開発について
<編集部より>
国際会計基準審議会(IASB)では現在、「のれんと減損」をはじめとする重要なプロジェクトを審議している。日本からの注目度も高い同プロジェクトだが、現在はどのような点を議論しているのだろうか。間もなく就任から丸3年を迎える鈴木理加理事にインタビューを実施し、これまでの活動の振り返りと併せて最新の審議動向をきいた。(インタビューは2月28日に実施した。)
1.理事就任以降を振り返って
――2019年7月の理事ご就任以来、間もなく3年目が終わろうとしています。特にこの2年ほどは新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中での活動となりました。
今現在も新型コロナウイルス感染症の影響は続いていますが、そのような中でも日本を含む関係者の方々がIFRS財団の活動に協力してくださっていることに、まずは感謝申し上げます。コロナ禍であっても、一定の調整後は、ほぼ決められたスケジュール通りに審議を進め、多くの協議文書を公開草案やディスカッション・ペーパー(DP)等として公表できたのは、ひとえに皆様のご協力の賜物です。
一組の高品質かつ国際的な会計基準であるIFRS会計基準―今後、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)によるIFRSサステナビリティ開示基準ができるので「IFRS会計基準」と申し上げます―を世界の皆様に継続して受け入れていただくためには、コロナ禍のような特殊な状況下であっても決められたプロジェクトを止めることなく着実に進めていく必要があります。我々はその責任を負っているのだということを改めて実感した3年間でした。
――ご就任以降の、対面/オンラインの状況はどのようなものでしたか。
私が比較的恵まれていたと思うのは、就任してから最初の9カ月ほどはまだコロナ禍が始まっていなかったので、他の理事やIASBスタッフとロンドンで直接知り合うことができたという点です。その期間は、前任の鶯地氏と同様、日本にも月に一度ほどのペースで帰ることができていたので、就任のご挨拶を兼ねて関係者の方へIASBの活動報告なども対面でできました。
ただ、ご存知の通りコロナ禍における政府などの対策は日本よりもイギリスの方が早く始まったので、2020年3月からおよそ2年間は、ロンドンでのほぼ100%自宅勤務となりました。就任後9カ月の間は、皆様と直接お会いする一方で審議を...
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