Special Interview 中村直人弁護士に聞く 令和4年株主総会の留意点
弁護士 中村 直人
本年の株主総会におけるコロナ対応について、留意すべき点を教えて下さい。
4月末時点では、全国的にまん延防止等重点措置が解除されている状況にあり、例年に比べ、どこまでコロナ対応を行うべきか悩ましいところです。株主総会開催時点で感染が再拡大している可能性も否定できませんので、招集通知には、昨年と同様に、コロナ感染拡大防止を優先した議事運営(来場抑制の働きかけ、入場者数の制限、検温・消毒の実施、マスク着用の協力依頼等)を実施する予定であることを記載しておくのが安全かと思います。もっとも、コロナの感染状況が落ち着いているようであれば、昨年同様の簡易な株主総会運営とすることは、株主軽視とのそしりを免れないようにも思いますので、平時対応の議事運営(入場者数の制限の撤廃、事業報告の口頭での説明、質疑応答の質問数や質問時間の制限の撤廃等)もできるよう、昨年と同様のコロナ感染拡大防止を優先した議事運営と合わせて両方の準備をしておき、株主総会開催時点での状況に応じて、柔軟に対応していくことが必要になると思います。
また、簡易な株主総会運営を行うことの代償措置として、昨年、一昨年と、株主総会状況のウェブ中継や事前質問の募集、事前質問への回答の開示、株主総会関係情報の事前開示の充実等の措置がとられてきましたが、これらの措置を取りやめるべきではないように思います。会社側からすれば、簡易な株主総会運営の代償措置として実施してきたものであるとしても、株主側は、情報開示の後退と受け止めるのではないかと思います。
ただし、例えば、ウェブ中継の利用者数を確認するなどして、株主側の需要を検証し、需要の少ないものは中止することは当然許されることであると思います。それから、お土産や懇親会の開催については、招集通知の校了時点では、株主総会開催時点の感染状況がわかりませんので、引き続き中止とせざるを得ないように思いますし、これらは、コロナ前から減少傾向にありましたので、これを機に廃止を検討する会社も多いのではないかと思います。
令和元年会社法改正との関係で対応すべきことは、どのようなことでしょうか。
令和元年改正会社法については、株主総会資料の電子提供制度に関するものを除き、そのほとんどが昨年6月の株主総会から対応されています。電子提供制度は、本年9月1日に改正法が施行され、来年の3月総会から開始されます。
上場会社の場合...
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